できるだけ神経を残したいのですが、なぜ神経を取らなければならないの?
普通の健康状態の人が、手や足に怪我をして細菌に触れたとしても、血液成分の力で傷は回復していきます。
四方八方の血管からさまざまな血球や酸素・栄養などが傷口へ流入してきます。
逆に老廃物は血管を介して運び出されていきます。
傷の修復に必要十分な血液の出入りがあるので、時間とともに治癒していきます。
ところが、、、
歯髄組織の場合、身体の他の組織に比べてきわめて血液の出入りが悪い構造的特徴を持っています。
×印:周りからの血管は全く交通していない。
○印:根の先しか血管が通っていない。
そのため、むし歯が進行して菌が歯髄に入り込んだり、怪我などで強い刺激を受け歯髄が傷ついたりすると、他の組織と違って治癒がしにくいのです。
炎症が長引くと、ついには歯髄が腐っていきます。
これを歯髄壊死(しずいえし)・壊疽(えそ)とよび、このまま放置すると顎の骨にまで病巣が拡大していきます。
そのためやむなく歯髄を取り除くのです。


歯を真っ二つに割ったその断面です。
次に細い針のような治療器具で根の中をきれいにしていきます。

根の中の無菌化に成功したら最後に根の中を抗菌性のある薬で充填します。
レントゲンで写すと白く写っている薬がきっちりと根の先まで入っているのがわかります。
ひびが入った歯根。歯牙再植法で歯を残せます。
歯髄には神経や血管、コラーゲン組織などが含まれています。