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CT
CTで正確診査
歯や顎は、立体的なものですが、旧来のレントゲン写真では、これを平面内に収めるため構造体が、一つの平面に重ねって写り、診断しづらい面がありました。
特に上顎の奥歯や顎の骨の形など、複雑な構造体の診断には限界がありました。
また、内臓の診断用のCTとは目的用途が違うため、歯科に特化したCTが必要であったのですが、その開発は遅れました。
近年、ようやく歯科用CTが実用化され、その普及が始まった段階です。
以下にCT診査が有効なケースを挙げてみます。
下顎に埋伏した親知らず
2次元の平面なレントゲン写真です。
左下の親不知の歯が横向きになった状態で下顎の中に埋まっています。
矢印は大きな神経や血管の入っている下歯槽管という部分です。
この親不知の抜歯手術で、近接した下歯槽管を傷つける危険性があります。
この写真のみでは、手術前の情報が不足しています。安全性を高めるためにCT診査を行いました。
横から見ているスライス像の1枚です。
正面から見ているスライス像の1枚です。
上下方向から見ているスライス画像の1枚です。
CTのデータを基に3Dイメージで表示した画像です。
ここには代表的な3方向からのデータのみを掲載しましたが、3次元のあらゆる方向から多数のスライスした画像を見る事が出来ます。
抜歯後のCT写真です。
下歯槽管を傷つけることなく、無事に抜歯手術が終了しました。
上顎に埋伏した親知らず
次に上顎の骨の中に埋伏した親不知の歯です。
この歯を他の場所に移植する診断計画を立てました。
移植する場合、親不知を傷つけずに取り出す事と歯の大きさ・形を手術前に把握する必要があります。
2次元の平面なレントゲン写真では、やはり情報が足りず、十分な診査が出来ません。
そこで、CT写真で色々な方向から親不知の診査を行います。
6方向からの3D画像をお見せします。
以下は取り出した親不知の写真です。
事前に診査した通りの大きさと形でした。傷もつかず、その後の移植も成功しました。
移植後のCTスライス写真です。
矢印が移植した親不知です。
萌出しない埋伏永久歯
中学校1年生の女の子の口です。
矢印で示すように変な所から永久小臼歯が萌(は)えてきています。
これを2次元のレントゲン画像で撮影すると、さらにその上に永久犬歯が埋まっていることが判明しました。
下の赤矢印で示しているのが、一部写真で見えている小臼歯です。
さらに、上側の矢印の部分にはまだ萌えていない犬歯があります。
しかし、立体構造が重なって写るために、歯の埋まっている方向や位置関係は、詳細には把握出来ません。
そこでCT診査を行いました。
その3D画像をお見せします。
写真の矢印で示している永久小臼歯の一部分が見えている所を○で囲っています。
矢印は埋まっている永久犬歯です。埋伏永久歯の位置がはっきりと掴めます。
顎関節
赤い丸の部分が顎関節です。
顎関節の診査にもCTは、大変有効です。
以下は顎関節の3D画像です。
インプラント
CTはインプラント治療には欠かせない診査法です。
治療前の診断、治療中の確認、その後のメインテナンスにも必要です。
埋入するインプラントの埋入角度、深度、直径等を術前に綿密にシュミレーションします。
▼治療前
▼治療後
矯正治療
歯根の動きや、顎骨の変化などを診査します。
矯正治療をした1例を見てみましょう。
矢印の犬歯が不正な位置に萌(は)えています。
▼矯正治療前
▼治療前
▼治療後
CT3D画像は以下のとおりです。
▼治療前
▼治療後
根根治療
歯髄(神経)や歯根の中の感染を取り除く処置を根管治療と呼びます。
その難しいケースで、ct診査が重要な役割を果たすことがあります。
歯根の形態はまちまちで、変形が強いものや奥歯の根は複雑で診断が難しいケースがあります。
上顎の大臼歯の歯根は、複根と呼ばれる形をしています。写真の大臼歯は、3つの歯根があります。
旧来のレントゲン写真です。
このような歯を旧来のレントゲンで撮影すると、立体的な構造が重なって平面に投射されるため、診断しづらい場合があります。
CT写真は、難しいケースでも正確な診断が可能です。
左側のCT写真中、矢印で示す黒い影が根先病巣です。
歯周病の診査
中度~重度の歯周病では、歯根周囲の組織、特に骨の破壊が進んでいます。
その破壊像は立体的な構造のため、旧来のレントゲンでは病態の把握がし難い面がありました。
CT診査は、そのようなケースにも有効です。
以下はCT写真です。
▼重度の歯周病
▼健康な歯周組織
矢印の黒い影の部分が、歯周病で失われた骨です。
健康な歯周組織と比較して下さい。